日米社会言語学

Observations on Japanese and American languages and societies from a Japanese language learner. In English and Japanese.

Thursday, May 11, 2006

ヒッポ・ファミリークラブの観察

お久しぶりです。

この8ヶ月は日本で研究をしました。以下は新しい論文の引用です。

 2005年の秋に筆者は国際交流基金のホームビジットプログラムで「タナカ」という女の人の家を訪問することになった。同僚と一緒に家の近い駅で落ち合うと、タナカさんは家に連れて行ってくれた。同僚は韓国人なので、韓国語や英語で会話した。

 タナカさんはヒッポファミリークラブのメンバーは韓国語や英語や他の外国語を学んでいると述べた。ヒッポに興味があると言って、タナカさんはヒッポに招待してくれた。

 ヒッポの毎週の「ファミリー」というミーティングは3つのセクションに分けられる。第1に、ヒッポの話のテープを聴く。メンバー達はテープを聴きながら同じ言葉を言う。7つ以上の言語(中国語、英語、フランス語、ドイツ語、日本語、韓国語、スペイン語など)のテープを聴きながらカラオケのようにそのままで同じ言葉を歌う。このようにしてだんだん覚えられると考えている。ミーティングの第2セクションに、「SADA」という活動がある。SADAとは歌を歌ったりダンスをしたり鬼ごっこのゲームをしたりすることだ。あるゲームは外国語と関係があるが、SADAの目的は外国語の練習ではなく、会の雰囲気をなごませる事らしい。第3に、SADAの後皆が地べたに座って、自己紹介をする。自己紹介のパターンは日常のことなので他のメンバーは簡単に分かる。また、言葉が思い出せない場合、メンバー達が助ける。

 当観察はヒッポファミリークラブの活動がほとんど良い結果を引き起こすと示唆する。時間に関して、「ファミリー」というミーティングは文部科学省の小学校の外国語活動に推奨した1年間105-110時間に近い。また、ヒッポのテープを聴く時間も考慮に入れると小学校の外国語活動時間を超える。
 本稿の目的はメンバーの言語の熟達度を測ることではないが、データから言語運用の仕方が外国語の学生と似ていることが分かる。さらに、会話しながら習得したので、メンバーは学生に比べて会話するのをためらわない。メンバー達とも、外国の人(筆者、ホームステーの客など)ともコミュニケーションができる。
 この上、もっと良い結果が見える。ヒッポの活動はモノリンガル・イデオロギを減少させる。Yamada (1997)は日本の文化にとってモノリンガルは重要で、隠された価値だと述べる。Yamadaによるとアメリカ人になる方法は英語を話すことだ。それに対して、日本語しか話せないとまだ日本人である。つまり、外国語ができないことは日本人のアイデンティティーの要素である。
 ヒッポファミリークラブのモット、「7ヵ国語を話す、日常がある」はモノリンガルイデオロギと対照的である。メンバー達は様々な言語を話しながらお互いを支持して、日本らしいコミュニティーを作る。それは外国語や世界に対して良い影響を及ぼすと確信している。

参考文献
Belz, Julie. 2002. The myth of the deficient communicator. Language Teaching Research 6(1): 59-82.
Butler, Yuko Goto. 2005. English in the elementary school: Current English language education policies in South Korea, Japan, and Taiwan. Pleiades Journal of TYLE 1: 49-73.
Crystal, David. 1998. Language Play. Chicago: University of Chicago Press.
Yamada, Haru. 1997. Different Games Different Rules: Why Americans and Japanese Misunderstand Each Other. Oxford: Oxford University Press.



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